大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和57年(行コ)55号 判決 1983年9月06日

京都市中京区大宮通四条上ル錦大宮町一二六番地

控訴人

新日本土地開発株式会社

右代表者代表取締役

坂本仁

右訴訟代理人弁護士

香川公一

同市同区柳馬場通二条下ル等持寺町一五番地

被控訴人

中京税務署長

人西操

右指定代理人

一志泰慈

右同

国友純司

右同

勝間甚之烝

右同

木下昭夫

右同

吉田真明

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

第一申立て

一  控訴人

1  原判決を取り消す。

2  被控訴人が控訴人に対し昭和五一年六月三〇日付けでなした昭和四八年六月一日から昭和四九年五月三一日までの事業年年分法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに同事業年度分会社臨時特別税の決定処分及び無申告加算税の賦課決定処分は、いずれもこれを取り消す。

3  訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。

との判決を求める。

二  被控訴人

主文同旨の判決を求める。

第二主張及び証拠関係

次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。

一  原判決二〇枚目裏七行目の「相当以前から」を「昭和四二年ころ」と改める。

二  控訴人の当審における主張

1  措置法六四条は収用証明書の添付を義務づけているのであるが、右は厳格な形式性を問題としているのではなく、要するに公共用財産として公的主体が取得したとの証明書を添付させることにより、課税庁の実体的要件の調査の簡易性を企図したものと解するのが相当であるから、実体的要件の判断をせず形式要件性についてのみで、措置法の適用を排除するのは間違いである。

2  控訴人が契約締結の日をもって土地取得時期としてげたことは間違いのない事実であるから、右処分方法が正規の会計処理慣行と著しくかけ離れているとか、不合理であるとかの事情がない以上、それを尊重してしかるべきものである。

三  証拠(当審分)

1  控訴人

(一) 甲第九号証の一ないし四

(二) 当審証人西田治、控訴人代表者

2  被控訴人

甲第九号証の一ないし四の成立は不知。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求はいずれもこれを棄却すべきものと判断する。その理由は、次のとおり付加するほか原判決の理由に説示するところと同一であるから、これを引用する(ただし、原判決三二枚目表四行目の「規定の日」を「一定の日」と訂正する。)。

1  控訴人の当審における主張1について

措置法六四条四項、同六四条の二の五項の規定により添付が義務づけられている収用証明書は、単に公的主体が公共用財産として取得したとの証明書で足りるものではない。このことは、右各条項並びに措置法施行規則二二条の二の四項一号、一四条六項三号イ及びニ号に照らして明らかである。のみならず控訴人の主張は、右証明書の添付がなくても、実体的要件が後日証明されれば措置法の適用を認めるべきであるとすることに帰着することとなり、このような見解は措置法の右各条項の規定を無視するものであって、到底是認できるものではない。

したがって、抗告人の主張1は採用できない。

2  控訴人の当審における主張2について

控訴人は、契約締結の日をもって土地取得時期としてきたことの立証として、当審において、新たに甲第九号証の一ないし四(振替伝票四枚)を提出し、控訴人代表者の尋問の結果及び証人西田治の証言を援用するのであるが、原審第四回口頭弁論期日(昭和五五年一一月二八日)に提出された前掲乙第九、一〇号証に照らし、又右甲証の提出時期(甲第九号証の一ないし四が提出されたのは当審第三回口頭弁論期日(昭和五八年五月二四日)である。)から見て、右各証拠(甲第九号証の一ないし四)はにわかに信用することができず、ほかに控訴人が契約締結日を土地取得時期としてきたことを認めるに足る証拠はない。

したがって、右事実を前提とする主張2も理由がない。

二  よって、控訴人の本訴請求はいずれも失当であり、これを棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、民訴法九五条、八九条に従って、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 荻田健治郎 裁判官 堀口武彦 裁判官 岨野悌介)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例